ローカルプロジェクト

宝の恵みである珠洲の風土を活かして美味しいものを作りたい

心からの「美味しい」を求めて。石川県珠洲市のさいはての地にある農園が挑む、震災復興への想い

令和6年1月1日に発生し、大きな被害をもたらした令和6年能登半島地震。未だ被害が色濃く残るなか、石川県で新たな挑戦に取り組んでいる方がいます。

今回ご紹介するのは、能登半島の中のさいはてにある石川県珠洲市にて、奥能登赤土スイカや、能登大納言小豆、さつまいも、お米などを栽培している、みなくち農園の皆口英樹さんです。NOTOteMAでも毎年多くのファンが皆口さんのスイカを楽しみにしています。

能登半島地震により、収穫間際だった1万株にもなるイチゴは全滅し、栽培システムも倒壊。田畑には亀裂が走り、水路が壊れたことにより、水田を耕すことすらままならない状態となりました。厳しい状況ではあるものの「珠洲で作った農作物から笑顔を届けたい」と、震災復興を目指して挑戦する皆口さんの取り組みを紹介します。

奥能登の自然豊かな風土を活かした、循環型農業

1950年から珠洲市で農業を営んでいるみなくち農園。東京ドーム約5個分(25ha)にもなる広大な土地で、スイカや能登大納言小豆、お米など数種類の作物を育てています。

世界農業遺産にも選ばれている自然豊かな能登の里山里海は、お米や作物を育てるのに適した土地です。地方では、人口減少や高齢化により農業の担い手不足が課題とされるなか、皆口さんは奥能登の豊かな風土に惚れ込み「宝の恵みである珠洲の風土を活かして美味しいものを作りたい」と、約13年前に農園を引き継ぎました。

約1万本の株からできたとれたてのイチゴが味わえるイチゴ狩りは、シーズンになると市内のみならず県外からも多くの観光客が訪れ、多いときには延べ4,000人の方が訪れます。

また、毎年小玉スイカ、大玉スイカなど合わせて約1万個収穫しているスイカは、地元民から「夏といえばみなくち農園のスイカ」と言われているほど親しまれている、地元の夏の風物詩。2023年にはふるさと納税で約400件近くの注文が殺到するなど、県外からも人気を集めています。NOTOteMAでもたくさんの方が、ご自宅用や贈答用に購入されています。美味しいから大切な人に贈りたくなるスイカです。

皆口さんは持続可能な農業を目指し、魚の粉末から作った肥料を使ったり、地域の酪農家からもらった牛のたい肥を使ったりと、循環型農業を行っています。地球の資源を守り、環境への負荷を最小限に抑えることで、未来の子どもたちへ里山の自然をつなげようと尽力されています。

震災により全滅してしまったイチゴ農園。田畑も亀裂や隆起が生じる事態に

能登半島地震では、珠洲市は震度6強と非常に強い揺れに見舞われ、建物の崩壊や、津波による甚大な被害を受けました。

みなくち農園も田畑に大きな亀裂や隆起が発生し、高さ70cm、幅50cmの段差が生じました。パイプラインの破損により水を送ることができなくなったほか、倉庫が全壊し、お米の乾燥機やもみすり機など、農具の復旧も必要です。

また、収穫目前のイチゴの株は全て枯れてしまい、植え直そうにも栽培システムが倒壊したため、苗の生産自体できなくなりました。毎年好評だったイチゴ狩りも、やむなく中止となりました。

皆口さんは、イチゴの栽培ハウスを地震発生当初から避難所として開放。現在も10人程度の方が避難生活を送っています。断水が解消され、仮設住宅への入居が決まるなど、珠洲の人々が安心して暮らせる場所が見つかるまで、イチゴの栽培ハウスは解放されるそうです。

心からの「美味しい」を目指し、さいはての農園復活へ

「地震発生直後、なにから始めていいのか分からず立ち止まっていたとき、多くの方からの『スイカを楽しみに待っています』『またイチゴ狩りに行きたいです』といったエールに励まされた」という皆口さん。

地震を機に農業を辞める方も多いなか、珠洲市から「美味しい」を届けるために、農園を継続していくことを決めました。5月には畑5枚分のスイカ苗の植え付けを終え、今後は地震で傷ついた土壌とスイカの表情を見ながら、生育を見守っていく予定です。

また、イチゴ農園が復活することにより、珠洲の観光スポットとして、地域を盛り上げる復興の光にしていきたいと考えられています。

現在は、震災で壊れたイチゴ栽培システムや田畑の亀裂や陥没を修繕するべく、クラウドファンディングに挑戦されています。募集終了まで残りわずか。クラウドファンディング期間中は、皆口さんに直接応援の声を届けることが可能です。

奥能登の風土から生まれた作物から笑顔を届けようと、復興を目指す皆口さんへの応援をどうぞよろしくお願いします。

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