SMILE PEOPLE

マカロンを通じて繋がる心、広がる輪

北陸を拠点に全国に笑顔を届けている生産者や職人の方の想いやこだわりに迫る「SMILE PEOPLE」。

富山県魚津市で、全国から注文殺到、店舗販売では即完売が続くマカロンがあるという話を聞き、取材に伺いました。

お話を聞いたのは「ココマカロン」を運営する大島さん。移住後に自宅の一室からスタートしたマカロン作りが全国各地で愛される商品になるまでの変遷、魚津の街への想いなどを伺いました。

自宅の一室、小さな商いからスタートしたマカロン作り

ココマカロンではどのような商品を販売されているのですか?

ココマカロンはオーダーメイドのマカロン専門店で、素材にこだわった手作りのマカロンの生地の上に一つ一つ手書きでイラストを書いています。店頭販売では季節に合わせたイベントや、季節の花などを毎月少しずつ変えて販売しています。オーダーに関しては誕生日、あとは出産結婚のお祝いやお返しを中心にギフトとして、色々なギフトセットを用意しています。退職や還暦など、多岐に渡って色々なギフトセットをご用意して、お客様に合わせて名前やメッセージをオリジナルでお入れしています。人によっては似顔絵や好きなものを書いたりして世界に一つのギフトを作っています。

移住されて魚津に来たということですがどういった経緯だったのでしょうか?

茨城県ひたちなか市出身で二十歳までは茨城にいました。短大を卒業後、神奈川県相模原市にある管理栄養士の専門の大学に編入しまして、卒業と同時に試験を受けて管理栄養士の資格を取得しました。
ですが、管理栄養士よりフードコーディネーターという仕事にすごい興味があって、東京で大御所と言われている森沢のりこ先生のアシスタントとして入ることができ、三年間アシスタントとして働きました。
その後独立したのですが、一年間はフレンチレストランで働いて、料理の技術を高めて、その後大手食品メーカーの専属のフードコーディネーターとして働いていました。そのときに同じ会社で働いていた主人と出会って結婚しました。主人が魚津出身で、ゆくゆくは魚津に戻りたいという気持ちが強く、私が三十一歳のときに魚津に家族で移住しました。
移住して魚津で最初はフードコーディネーターの仕事をしようかなと思っていたんですけど、マカロン作りが趣味だったので移住をきっかけに、小さい商いを始めてみようかなと思って始めました。フードコーディネーター時代にマカロンに出会って、趣味で作って友達にあげたりしていたんです。

最初はどれぐらいの規模でスタートしたのでしょうか?

自宅の3.5畳の本当に小さい工房でネット販売のみで始めました。ただ、この地域に住んでいる人たちも興味を示してくれたり、注文しに来てくださったりして少しずつ広がっていきました。それから2年後に販売スペースだけ工房の前に増設しました。それが4.5畳ぐらいで小さいんですが、工房と合わせて8畳ぐらいの大きさでココマカロンをスタートさせました。
そこから1年半後に思い切ってこの建物を建てたのが去年の7月頃です。

ココマカロンを通じて広がる「輪」

総勢何名ぐらいのスタッフが働かれているのでしょうか?

現在7~8名が働いています。募集で来てくださった方もいますけども、ほとんどは私の知り合いで一緒に働きたいなって思った方をヘッドハンティングしました。
あと、今はもう辞めてしまったんですが、ふるさとワーキングホリデーという制度を利用してココマカロンに来てくださった大阪出身の女性がその後も一年以上働いてくれて、ココマカロンを陰で支えてくれていました。彼女は今も富山市に住んでいます。

リモートワークで働いている方もいらっしゃると伺いました。

去年の12月に旦那さんの転職で兵庫に行ってしまったのですが、兵庫に行ってもココマカロンと繋がっていたいと彼女が言ってくれたので、今はテレワークのような形でお仕事を依頼しています。ココマカロンは発送がすごく多いので、梱包材とか資材とかもすごいたくさんあったりとか、マカロンにイラストを書くだけではない多くの仕事があるのでそのような業務を兵庫県からサポートしてもらってます。あと、SNSの更新も彼女が殆どやってくれています。コロナになって働き方が色々変わってきたので、離れていても一緒に働けるようになったのかなとも思っています。最初から知らない人に頼むのではなく、勝手がわかっているので頼みやすく、とても助かってます。

マカロン作りのこだわり

ココマカロンという名前の由来を教えてください。

ココは心を込めるっていう思いが一番多いんですが、ギフトが多いので「送る人から送られる人へ心を込める」、 「私たちがその心をマカロンとイラストで表現する」みたいな意味合いです。ココマカロンは送る人も送られる人も笑顔になるスイーツだと思っていて、「心を繋ぐ」という意味合いを込めてココマカロンと名付けました。

リピーターの購入も多いのですか?

リピーターはとても多くて、あげて喜ばれたら次もあげたいと思うみたいですね。この辺の地域の方も、年配の方でご購入される方が多くて、孫に送ってあげたいとか、娘に送ってあげたいという方が多いですね。

商品を作る上でどのようなことを大事にしていますか?

マカロンに関して言うと、アイシングしてる商品ってたくさんあると思うんですが、やっぱりお菓子である以上は可愛いより美味しいが来てほしいんですよね。ただ可愛いだけだったらお菓子じゃなくてもいいじゃないですか。やっぱり美味しいっていうところにすごい拘っているので私は美味しかったと言ってくれる方がうれしいです。マカロンが美味しいっていうことが長く続いていくために必要かなと思っていて、可愛いだけじゃないっていうところに拘っています。

これからの挑戦

店舗新設、スタッフ増員。事業が拡大中ですね。

最初はリスクは負いたくなかったので小さい規模から始めてコツコツとやっていました。その後何回かステップして、今ジャンプしたという感じなんですけれども、小さいところから積み重ねた実績、自信みたいなとろで大きくできたのかもしれません。あとは以前、事業を大きくするか悩んでた時にあるスタッフに「今後ココマカロンみたいな店が出来て流行った時に死ぬほど悔しいと思うんだったら挑戦するべきです」と言われたのですが、想像しただけで死ぬほど悔しいって思ったので、挑戦しました。

次のステップとして挑戦していきたいことはありますか?

規模を大きくすることはあまり考えていなくて、10年後、20年後も継続して地域に愛されているお店でありたいと思っています。
それと、もっともっと全国に知られたいなっていう思いはあります。ただ、大きい工場を作るとか店舗数を増やすということはあまり考えていないです。効率と手作り感みたいなのってすごいバランスが難しいなって思っています。今でも既にオーダーという点では結構キャパオーバーなところがあるのですが、ただ効率性を追求していくことは自分がしたいこととは違うのかなと思います。

今後やってみたいことがあるのですが、ゲストハウスを作りたいなと思っています。以前、ふるさとワーキングホリデーで県外から来てすごく魚津を好きになってくれた方がいました。その方は移住はしなくても生涯魚津のことを忘れないでしょうし、ずっと好きだと思うんですよ。富山県とか魚津って外から見たら魅力を感じにくいので、少し滞在しないと良さが伝わらないのかなと思っています。魚津市は人口が少なくて、若者も少ないです。でもやっぱり若者ってすごい大事なので、ココマカロンでゲストハウスがあれば県外の人も少し滞在して魚津を知ることができる機会になる。そんな取り組みが今後出来ないか、少しずつ考え始めています。



様々な想いを乗せて全国に送られる沢山のマカロン。そしてマカロンを通じて集まってくるココマカロンへの興味関心、魚津の街への地域愛。ココマカロンの取り組みを通じて、昨今話題にあがる「関係人口」の自然な作り方のモデルを垣間見た気がしました。ゲストハウス構想の今後の展開も楽しみです。

ココマカロン

富山県魚津市にあるオーダーメイドのマカロン専門店。素材に拘ったマカロンの上に一つ一つ手書きでイラストを描いている。贈る人と贈られる人とココロをツナグ魔法のお菓子として全国から注文が殺到中。

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(取材/株式会社Asian Bridge、撮影/トナミユキコ)

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