ローカルプロジェクト

スポーツイベントへの取り組みを通して見えた難しさと可能性 (石川県穴水町)

湖のような景色が続く穏やかな湾、そして豊かな緑に囲まれている奥能登の玄関口「石川県穴水町」。のと里山空港からわずか10分というアクセスも魅力的なエリアでもあります。

初夏の気配漂い始めた2022年5月末、穴水町の港にある「あすなろ広場」でスポーツの軸から新しく町の活性化に取り組むイベントの開催があると聞き取材に伺いました。その大会とは「3×3 GAMES in Anamizu」。以前は3on3という呼称だった3人制のバスケットボールですが、現在は「3×3(スリーエックススリー)」として競技名称も変わり、オリンピックの正式種目にもなり一層の盛り上がりを見せている競技です。

取材に伺った開催2日目は県内から総勢8チームが参加。天候にも恵まれ快晴の中、白熱した試合が繰り広げられました。まずは当日の爽やかな様子を写真でレポートいたします。

海風薫るバスケットコート、溢れる笑顔と響く声援

港に出現したバスケットコート。海の匂い、緑に囲まれた最高のロケーション。
ウォーミングアップを始める選手たち。コート内にも徐々に試合前の緊張感が漂い始める。
チームで一致団結。試合前も試合中もコート上には観ている人たちをポジティブな気持ちにさせる爽やかな空気が流れていました。
どの試合も熱戦が続き、選手たちの真剣な眼差しと華麗なプレイから目が離せませんでした。
「ナイスシュート!」の瞬間。シュートが決まるたびに生まれる笑顔とコート上の緊張感。
間近で見て感じられたコート上の躍動感。
選手の踏ん張りを後押しする多くの声援。ベンチも会場も盛り上がりをみせていました。
優勝は地元穴水チーム!吉村町長とも記念写真を撮影。

大会終了後、今回の取り組みに至った経緯や実施してみた感想を主催である穴水町教育委員化事務局の濵高さん・宮本さんに伺いました。

「する、観る、支える」。様々な形での参加方法を模索

教育委員会とは普段どのようなお仕事、活動をされているのでしょうか?

教育委員会自体は学校現場を始めとして、それ以外にも社会教育、家庭教育、地域教育、生涯学習に携わる業務を行っています。また、公民館や図書館など多くの施設の管理も行っています。そして、このようなスポーツイベント関係、町の他の様々なイベントも担当しています。

穴水町教育委員会 濵高さん(左)、宮本さん(右)

今回どのような経緯で3×3イベントが開催されたのでしょうか?

去年あたりからこういうイベントを考えて着手しています。スポーツイベントというと基本的にみなさん「すること」中心で考えていますが、する以外にも「観ること」「支えること」も参加になると考えています。何かしらのきっかけで参加してもらい、町が活性化してほしい。そういった「きっかけ」を作りたいと思っています。
コロナもあってイベントはずっと開催できませんでしたが、そろそろやっていけそうかな、というタイミングになってきました。

選手としても出場、華麗なプレイで魅せた濵高さん

バスケットボールと穴水町

穴水町はバスケットボールが盛んな地域なのでしょうか?

穴水は昔からバスケは強いんです。僕ら(濵高さん)の親世代も県内でトップクラス。バスケに対する思いが強い方々が沢山いるんです。そして僕ら子供世代に受け継がれていて、現在ではプロの選手(※1)も輩出しています。

(※1)濵高さんのご兄弟の康明さん (西宮ストークス)、俊喜さん(ZETHREE ISHIKAWA.EXE.)が穴水町出身のプロ選手として活躍中。

強さの理由ですが、もしかしたら海も山もある自然のなかで育った運動神経、そして食べ物もすごく豊富で栄養価が高い食べ物が多い、という点はあるかもしれません。例えば穴水の特産物である牡蠣には亜鉛が沢山含まれていますし、筋肉にも良いです。美味しい食べ物と自然の中での生活がスポーツに生きてくる、というのはありそうですね。

イベント内で開催されたフリースロー大会、地元の子供達も沢山参加していました。

実施を通して見えた広がりの可能性

今回開催してみての手応えはどうでしたか?

今回初めてということもあって、とりあえずやってみようということでまず始めてみました。そして、今回やってみて感じたことは、会場にはまだまだ賑わいの創出ができる余地があると感じました。
たとえばコートの横には「あすなろ広場」があるがここで何かタイアップできないだろうか、あるいは、会場の前に広がる海でマリンスポーツと何かタイアップできないだろうかなど、うまく繋いで賑わいを創出に持っていけたらなと感じました。
他にも、例えばお昼の休憩時間帯にダンスを習っている子供達に来てもらって踊ってもらうとかは出来そうですよね。子どもたちにとって、また生涯学習や社会教育においては成果の発表というのがものすごい大事ですし、やる気を引き出す一つの方策なんです。今回は3×3の開催だけでしたが、次回このようなイベントを開催する際には考慮に入れたいポイントです。

ユニークなチーム名、それぞれの名称の由来が気になります。

今回イベントを運営されるなかで大変だったことは?

やはり周知が難しかったです。情報が届いたとしても参加までは難しい。どうやったら参加してくれるか、というきっかけづくりがなかなか探せませんでした。大会にエントリーする人は勿論来るので、地元の人がきて初めて成功だと思うんですが、今回それほど多くの来場には結び付けられませんでした。これから色々と工夫してやっていければと思っています。
そして、このような取り組みをやり続けるのは難しいですが、継続が大事ですよね。我々が取り組んでいる教育・福祉・子育てなどは成果がすぐ目に見える形とはなりません。一度賑わいを創出したからといってすぐにそれが少子化の解決や町の活性、移住定住促進などにつながるとは思っていません。だけど、できることを手探り状態でやっていく中でヒントは見つかってくると思います。
正直いうと昔と比べると町の活気は減っています。以前はもっと人がいて祭りがあって、という活気のある風景でした。改めて、若い力が大事だと思います。そういったことを意識して取り組みを育てていくのも教育の一つだと思っています。

3×3を通して繋がる人、町、世代。次の展開が楽しみです。


インタビューをさせて頂いた濵高さんは高校まで穴水、その後県外に行って再び2年前に穴水に戻ってこられたそうです。インタビューのなかで「穴水が好きなので何かしたいと思って戻ってきた」ということをお話されていたのですが、その眼差しと言葉はとても力強く、過去と現在、そして未来の穴水を繋ぐ強い意志を感じました。活性化の種はイベント自体の作り込みではなく、そこに携わる人々の強い想いから育まれてくるのだろう、ということを感じた初夏のイベントでした。


ローカルプロジェクトでは、今後も自治体の新たな取組、街の活性化に取り組む事業者や団体の動きに注目していきます。

石川県穴水町 (いしかわけんあなみずまち)

石川県の能登半島の中央に位置する。奥能登の玄関口として交通の便がよく、日本海側でありながら内浦になる穴水の湾は非常に穏やかで、湖のような景色が続く。国道249号線沿いにあるボラ待ちやぐらはホッと一息できる休憩スポット。冬に開催される「かきまつり」は多くの観光客を呼ぶ一大イベント。

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(取材・撮影/株式会社Asian Bridge)


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