ローカルプロジェクト

ライブコマースへの挑戦。新たな販路作りに挑む能登鹿北商工会

2022年も全国的に相次いだコロナウイルスの影響によるイベントの中止や延期。飲食店や生産者への影響は計り知れません。今回取材をした石川県能登エリアにある能登鹿北商工会においてもその影響は甚大で、1日あたり10万個の牡蠣が売れていたという人気イベント「七尾湾 能登かき祭」も2年連続の中止を余儀なくされていました。

3月某日、 能登鹿北商工会が「行き場を失った美味しい牡蠣を少しでも多くの人に届けたい」という想いで、新しい販売促進方法に取り組むという話を聞き取材に伺いました。その新しい販売促進方法とは、「ライブコマース」。

ライブコマースとは・・・
オンラインショッピングとライブ配信を組み合わせた販売手法。視聴者はスマートフォンやPCでライブ配信に参加し、商品の購入に加え、チャット機能を通してコメントや応援ができたり、直接質問ができる。

※当日のライブコマースの様子(スマートフォン画面での例)

ライブコマースは北陸朝日放送の「ゆうどきLiveSHOPPING」の企画として配信されました。企画第1回目となる取り組みでしたが視聴者数は500名を超え、応援ボタンも計1万件以上送られるという盛り上がりを見せました。


以下、初ライブコマースに取り組んだ1日の流れを写真でレポートいたします。

ライブコマース、配信現場に密着レポート

リハーサル開始。機材チェック、映像・音声チェックなど事前の入念な確認が行われる。
ライブ配信で紹介する料理の仕込みが平行して始まる。現場に牡蠣のいい香りが漂いはじめる。
MCに加藤裕さんを迎え、ライブ配信開始。徐々に視聴者数が増え始め、現場も熱を帯びてくる。
まずは、能登かきの魅力を紹介するコーナーからスタート。
今回の目玉企画、能登かきをつかった料理対決。ゲストのビヨン酢さんは「ピリっと牡蠣のなめろう」を調理実演中。
ゲストのうしろシティ阿諏訪さんは「カキのバーニャカウダやきそば」をアウトドアスタイルで調理。
生産者の山田さん、満面の笑みで試食。美味しそう!
無事配信終了。約1時間の配信を終え、最後に出演者でパチリ。

ライブ配信終了後、今回の取り組みに至った経緯や実施してみた感想を能登鹿北商工会の皆様に伺いました。

牡蠣祭りの度重なる中止。新しい販売方法の模索。

今回のライブ配信はどのような経緯で実施することになったのですか?

「七尾湾 能登かき祭」を毎年2月下旬にやっていたのですが、2年連続でコロナウイルスの影響で中止せざるを得なくなってしまいました。かき祭りでは毎年1日あたり10万個くらい売れていたのですが、その販路が突如なくなってしまいました。また、飲食店も休業が続き、販売数としては苦戦をしている状況でした。そこで今回、新しい販売促進の一貫として、まずは試しに取り組んでみようということになり、本日実施しました。

能登鹿北商工会 鳥畑さん

実際ライブコマースを実施してみてどんな印象を持ちましたか?

まずは楽しかったです!ハート(応援ボタン)をたくさんもらえて嬉しかったです。実施するまでは「これって誰か見てくれるのかな?」と、とても不安だったんですが配信中の画面で実際の視聴者数が見えたり、応援コメントがみれたり、とても興味深かったです。どれくらい販売に繋がってくるか楽しみです。1万件も応援ボタンを押して貰えるなんて思ってもいませんでした。

ライブコマース販売実演の感想を語る山田さんと小林さん。

山々の栄養をたっぷり吸い込んだ絶品の牡蠣

能登かきの魅力とは?

とにかく甘み、旨味が強く、味付け無しでも食べられる牡蠣です。周りが山々に囲まれており、そこからの栄養を受け継ぐプランクトンを食べて育った牡蠣です。1年で出荷できる状態まで成長するというのも大きな特徴です。

食べ方は色々ありますが、シンプルに焼いて食べる、蒸して食べるのがオススメです。大根おろしや三杯酢も合いますね。あとは日本酒にも合いますし、まあ、お酒は進みますね。

新しい販売方法の模索と挑戦

今後どのような取り組みに挑戦していきたいですか?

こういったネットの活用は少しずつ取り組んでいかないとですね、ちょっと遅れているのは感じているので・・。あと殻付き牡蠣の需要をどう広めるかは今後の課題です。殻付きはやはり食べ方が面倒ですよね。都会の飲食店などで需要は一定量ありますが更に販売ルートを増やしていきたいです。現在スーパーにはあまり売っていませんし、剥くのが難しいという印象をお持ちの方は多いかと思います。確かに生で剥くのは大変なのですが、蒸すと楽に剥けるんですよ。そしてその蒸した牡蠣の汁をこぼさずにたべるともう最高に美味しいです。

今回のようにライブ配信だと牡蠣の美味しい食べ方なども伝えやすくなっていきそうですね。

はい、いきなり新しい販売手法が伸びるとは思っていないので徐々に取り組みを続けていきたいですね。あとは、今年も開催できませんでしたが「かき祭り」を盛り上げていきたいです。商工会は事業者を支援する立場で、その手段の一つとしてイベントをやっているので、来年こそは開催したいですね。

お届け先を待つ牡蠣たち。

少し先を想定することが難しくなってきている現在の状況において、まず取り組んでみる、そして結果を見ながら次の一手を考えるというスタンスに能登鹿北商工会の力強さを感じました。そして何より来年の「かき祭り」が無事開催されるよう、生活の平常化を願うばかりです。


ローカルプロジェクトでは、今後もこのような形で各地の名産品や魅力を全国に届けるために様々な工夫をされている事業者や団体の動きに注目していきます。

能登鹿北商工会 (のとろくほくしょうこうかい)

旧田鶴浜町、旧中島町、旧能登島町の商工会が平成17年に合併してできた石川県七尾市にある商工会で中小・小規模事業者の支援を行っている。現在約430の事業者が加盟。

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NOTOteMAでは本記事で特集した能登地方の特産物を始めとして、様々な石川県内の商品を取り扱っています。→石川県の商品一覧へ


(取材/株式会社Asian Bridge、撮影/トナミユキコ)


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